◆価値観の対立を解く方法。

「対決のわたしメッセージ」でも「勝負なし法」でも解決するのが難しい対立があります。それは価値観の対立です。対立には二つの種類があり、一つは「欲求の対立」、もう一つは「価値観の対立」です。

「欲求の対立」と「価値観の対立」の見分け方は簡単です。「対決の私メッセージ」の三部構成で説明できる対立は「欲求の対立」であり、一方、3つの部分のうち「自分への影響」が存在しない対立が「価値観の対立」です。

欲求の対立 = 相手の行動自分への影響自分の気持ち
価値観の対立 = 相手の行動自分の気持ち

例. 「君がタバコを吸うと君がガンになるのではないかと心配だよ。」
これは「価値観の対立」です。

例. 「私のそばでタバコを吸われると煙たくて気持ちが悪くなるんだ。」
これは「欲求の対立」です。

ただし、こちらが「自分への影響」を主張していても、相手がそれを認めない場合は、「価値観の対立」になります。次の例です。

父親 「お前が髪を染めると私が他の父兄から批判されるんじゃないかと心配なんだよ。」
息子 「何も悪いことしてないんだからいいじゃん。」
この場合は、「価値観の対立」です。

「価値観の対立」への対処法はいくつかあります。

1.自分とは異なる価値観を知る。
「能動的な聞き方」を使って、相手の主張をていねいに、正確に聞き取ります。すると、意外と対立点が少ないと思えることもあります。

2.自分の価値観が変わる。
相手の価値観を経験してみる。すると、自分の価値観が変化することがあります。

(『人間関係を育てるものの言い方 』より。)

「主人がたまに、競馬・パチンコをすることについて、私は嫌でした。私はバクチと言うものに、すごく悪いイメージを持っていたからです。でも、主人は少ない金額で遊ぶことは自分の欲求でもあるし、自由にやりたいといいます。

楽しそうに見えたので、私も思い切ってやってみようと思い、パチンコに一度連れて行ってもらいました。出費はすべて主人が持ってくれ、思う存分楽しみました。(私は玉が入らなかったことが残念だったけど,この日主人は勝ちまくったのです)。

この結果、時間があるときは、二人で金額を決め、遊ぶのも同じ時間を共有できていいかな、と思えるようになりました。」

3.価値観はそのままに、相手の受容できない行動を「勝負なし法」で解決する。

相手の価値観はそのままでも、自分と接する時は、行動を変えてもらうように「勝負なし法」で話し合う。

(『人間関係を育てるものの言い方 』より。)

娘の友人との会話は、言葉使いが汚くて、自分から見ると「聞くにたえない」感じすらします。二人で話し合い、家の中での言葉使いには気をつけるようにする、と約束しました。電話でも家の他の人が聞こえる場所では、できるだけ気をつけることになりました。

4.相手の価値観に影響を与えようとする。

これには二つの方法があります。

 (4−1)模範を示す。
 言動が一致していること。言動不一致では他者の価値観に影響を与えることはできません。例えば、「お酒は飲まないほうがいいよ」と言いながら、お酒を飲む。「困っている人は助けなさい」と言いながら、寄付は全然しない、などです。

 (4−2)コンサルタントになる。
 自分の考えや経験を語ることで、相手の価値観に影響を与える方法です。コンサルタントになるには、次の手順とルールを守る必要があります。

・まずは雇われること。自分の持つ知識を話し始めることについて相手の許可をもらう。

・情報・データ・経験・思考能力が豊かであること。(相手が持っていない情報があること)

・提供した情報、思考内容に影響されて変化するか、しないかは相手に任せること。コンサルタントが持つのは影響力だけで、権力は持たない。

・くどく言わない。きちんと情報と思考を相手に提供するのは一度だけにすること。状況の変化、新しい情報が入ったり、相手が求めてくることがあれば、また提供する機会は生まれる。

以上のルールを守らないコンサルタントは、クビにされます。

相手と対話する時は、「能動的な聞き方」を忘れずに、「宣言のわたしメッセージ」で自分の価値観を伝えましょう。「宣言のわたしメッセージ」とは、「わたし」を主語にして自分について語ることを指します。次の二部構成で成り立ちます。

 (1)「わたし」を主語にする。(省略してもよい)
       +
 (2)自分のこと。(価値観など)


例.「わたしは、あの映画がすきだわ。」「今疲れてるの。」「あなたと話していると楽しいです。」、など。

そしてコンサルタントとして語るには大きく分けて二つの表現の仕方があります。


1.相手の行動が
2.相手自身にどのような影響をもつので
3.私はどう感じる


1.相手の行動を
2.私はどう感じる

Aの例 (病人と介護者)
「1.好きな食べ物しか口にしないでいると、 2.病人の栄養が偏るのではないかとの恐れがある。なぜなら病人は野菜を食べるのを嫌がるから。そうすると病気に対する抵抗力は弱まるので回復力が弱まる。場合によっては栄養点滴を始めることになるかもしれない。そうなると消化器官が弱って、好きな食べ物も食べられなくなったりするかもしれない。 3.そんなことが起こったら、介護する自分はとても悲しい。

Bの例
「1.友達を無視するのは、 2.(わたしは)虐めだと思う

以上です。自分の人生を振り返ってみてください、あなたの価値観に最も大きな影響を与えた人物は以上のルールを守っていた人ではありませんか? 逆に、あなたに影響を与えようとしてできなかった人は、いずれかのルールを破っていたはずです。

5.人間関係を変える。
価値観があまりにも異なり、努力しても解決しない場合は、人間関係を終わりにすることもできます。離婚、転職、親元を離れる、転校、お稽古事をやめる、などがそうです。

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