◆「受動的な聞き方」で話を促す。

聞く技術の一つである「受動的な聞き方」は、相手が心を開いて、本当の気持ちを話すように接する。また、相手が何か問題を持って悩んでいるときに、相手が自分の力で問題を解決できるように手助けするための技術です。

「受動的な聞き方」には次の五つの方法があります。
1.相手のそばにいる。
 ・ 相手が話し出したら相手を見る。
 ・ テレビを見ながら話を聞くことなどはせずに、相手の話しに集中する。

2.黙る。
 ・ 自分は話さないで、相手が話すことを受け入れる。
 ・ 相手の話しに割り込んで邪魔しない。

3.あいずちを打つ。
「へぇ〜」「そう」「そうなんだ」「ふーん」「うん」「まあ」「まったく」「そりゃそうだ」「おもしろいね」「冗談じゃないね」「本当?」、など。

4.話をうながす―相手の心の扉を開く言葉。
「それで?」「それからどうしたの?」「それについて話してごらん」「そこのところ、もっと知りたいんだけど」「君はどう思う?」「なにか言いたいことがあるんじゃない? 言ってごらん」「君には大事なことらしいね」「その話は、そこで終わりにしていいの?」「私は時間があるから、もっと話してくれて大丈夫だよ」、など。

5.ほほえむ、驚く。
表情や身振りで態度を表すこと。

次の例は、父親と中学生の娘(十三歳)の対話です。(『理由ある反抗―親業(ゴードン・メソッド) いまを解決する話す技術・聞く技術 』より。)

 今日、数学の鈴木先生ね、一時間お説教だったんだよ。

父親 へえ?

 私たちのクラス、授業中に騒いでばかりでうるさいって。

父親 そう。

 でも鈴木先生の授業って、ちっともわかんないんだもの。声もはっきりしないし、変なダジャレなんかは言うんだけど、ちっともおもしろくないんだもの。

父親 ・・・・・・。(黙っているが、ほほ笑んでいる。)

 国語の斎藤先生ね、厳しいし、冗談もダジャレも何も言わないけど、でも授業がすごくおもしろいの。

父親 ふーん。

 斎藤先生なんて女だし、身体も小さいし、体罰も何もないでしょ。それでいて山田君も吉田君も(二人ともワルと評判高い男の子)、ちゃんと静かにしてるんだから。美穂ちゃんが言ってたけど、斎藤先生だけは塾の先生よりも教え方がうまいって。よく分かるって言ってた。

父親 ふーん。

 みんな斎藤先生みたいだったらいいのに。先生たちのお給料って、教え方の上手下手とは関係ないの?

父親 ふん。(首をかしげて、よくわからないという素振り)

 でも、まあ、いつもいい先生にばかりにあたるわけでもないし。・・・・・・高校に行っても大学に行っても、いい先生と嫌な先生はいるもんね。嫌な先生だからって勉強しないでいたら自分が損しちゃう。

父親 ・・・・・・。(ほほ笑む)

 そうだ、今度の数学の時間は、事前に教科書読んで問題集やっていこう。

この例では、娘が父親に話を聞いてもらううちに気持ちが晴れて、自身の力で解決策を導くことができました。本人が元から持つ“考える力”を「受動的な聞き方」で引き出したのです。もし、父親が12の対応で返していたら、娘は自力で解決策を導くことはできなかったでしょう。

ところが、この「受動的な聞き方」には次のような限界があります。
・相手からの言葉が返ってこないので、もの足りない。
・相手が本当に理解しているのかどうかが分からない。
・相手はどう思っているのかが分からない。
・互いに親密に理解しあえている感じがない。

次は、この限界を突破する「能動的な聞き方」という手法を紹介します。

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