ひきこもり・ニート・不登校の原因究明は責任転嫁か?


■管理人プロフィール
1984年生まれ。男。
小学3年生から学業不振が始まり、5年生で不登校になる。当時のスクールカーストはどん底の最下位。現在はアルバイトをしています。社員になりました。 未婚で子どもはいません。

■「責任論」と「原因論」
ひきこもり問題が語られるとき、しばしば責任と原因が混同されるので、私の見解を述べておきます。

ひきこもり本人(あるいは環境)に「原因」があるかという話と、ひきこもり本人(あるいは周りの人)に「責任」があるかという話は全く別のものです。

さらに、責任には二つの定義があります。「結果責任」「遂行責任」です。

「結果責任」とは、問題の結末を最終的に受け入れる責任のことです。
「原因」とは、その問題を生み出した元のことです。

これは、農業を例にとってみればよくわかります。悪天候のために凶作となった場合、「原因」は天候にありますが、「結果責任」は農家にあります。また、会社でも部下がミスを犯したときに、「原因」は部下、しかし「結果責任」は上司にあることからもわかります。

ひきこもりの問題点は自力で生活費を稼げないため、親が生活費を負担しなければならないことや、親が死んだら本人は餓死するかホームレスになる不安があること、結婚など普通の人の幸せを得られにくくなることにあります。したがって、「結果責任」は本人と家族の双方にあると言えるでしょう。

「遂行責任」というのは、「物事がうまくいくように努力する責任」のことです。親には子供の人生がうまくいくように教育を施す責任がありますし、子供にも自助努力する責任があります。そして子供が知慮浅薄な低年齢の時代ほど親の「遂行責任」の比重が重いのです。

「原因」というのは、たんにある状態を引き起こす元となった出来事のことです。人に課せられた義務や報いとは関係がありません。

■ひきこもりの原因は?
ひきこもる子とそうでない子の相違点を大別すると先天的な理由と後天的な理由に別れます。

先天的な理由というのは遺伝子のことです。ひきこもりの4人に1人に軽度の発達障害があると言われており、それがひきこもりの原因になったと考えられます。

もうひとつは後天的な理由、家庭や学校など周囲の環境から受ける影響です。人格形成は特に親子関係から受ける影響が大きいのです。学校で起きるイジメの被害者や加害者にも、親子関係によってなりやすい傾向が生まれます。

社会通念上、大人になったら人生の「遂行責任」は自分にあるという考え方が普通ですが、子供時代の親子関係がもとで不登校になり、生活力を身につけることができないまま大人になったとき、それまでの負債もすべて含めて「ここから先は本人の遂行責任です」ということになるかもしれません。しかし、過去の時点において親に遂行責任があったこともまた事実です。

ここでよく耳にする言葉についても少し考えてみます。
「人は自分の力で運命を変えるべきだ」
この意見には真理が含まれているでしょう。しかし「だからひきこもりの原因は周囲の人的環境にはない」とは言えません。本人に人生の遂行責任があることと、ひきこもり状態を引き起こす原因が外部にあるということは矛盾しておらず、同時に成立可能だからです。

この意見は、「人を殺してはならない、したがって殺人は起きない」という意見と論理構造が似ています。理想的な姿に引きずられて事実を見落としているのです。こうした誤解を道徳主義的誤謬と言います。

当サイトが原因の究明を行う理由は次の2つです。
1.原因を知り、新たなひきこもりの発生を未然に防ぐため。
2.偏見にもとづくひきこもりへの非難を避けるため。非難はひきこもりの状態を悪化させます。

■原因のコントロール可能性
2番目の理由について補足すると、人間は他人が失敗したときに、原因がその人の個人的な力でコントロール不可能な理由なら「同情」を示しますが、コントロール可能な理由なら「怒り」を示します。たとえば、会社で部下が遅刻した原因が「寝坊」だった場合、本来ならコントロール可能なはずの原因なので上司は「怒り」ます。一方、部下の遅刻の原因が「高熱」だった場合、個人の力ではコントロール不可能なので上司は「同情」を示します。

不登校・ひきこもりが非難されるのは、その原因が本人の力でコントロール可能だと思われているためです。しかし原因が幼い頃の家庭環境にあるとすれば、それは子供の力程度では到底コントロール不可能なのです。

成人したひきこもりの場合でも、人格障害などを患っている人は外界に対する感じ方が標準的な人とは大きく異なるので、コントロール可能性がゼロとは言いませんが健全な家庭で育った人が想像するよりもだいぶ困難です。

■「原因究明」と「正当化・責任転嫁」は違います
本サイトの目的はひきこもりの正当化でも、責任転嫁でもありません。

責任転嫁とは、たとえば「ひきこもりの原因は親にあるのだから、親の力だけで解決するべきだ(自助努力は不要!)」という類の主張です。正当化とは、たとえば「ひきこもりの原因は親にあるのだから、ひきこもりのままでいていいんだ」という類の主張です。私はこれらの主張が現実的な解決策であるとは思いません。

ただし、原因には既に過去のものになり変えられない原因と、現在進行形の原因があります。もしひきこもりの親がいまだに原因となる親子関係(後に詳述)を続けているとしたら、親にはただちにそれを中止する責任があるということを明確にしておきます

■本サイトでは、ひきこもりを原因・予防法・脱出法の三段階に分けて解説します。さらに脱出編では本人にできること、周囲の人にできることの2つに分けて解説します。筆者はこのサイトを不登校の子を持つ親に限らず、すべての親にとって有益なものにしようと考えています。

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