スクールカーストとタイプ別の「いじめ」

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内藤朝雄『いじめの構造』より

イジメの定義

いじめが成立するためには、
1.加害者の嗜虐意欲
2.加害者による現実の攻撃行動
3.被害者の苦しみ

という三つの要素が必要である(いじめの三要件)。以下では、この三要件を概念の中心に位置づけて、いじめを、
1.最広義、2.広義、3.狭義、の三段階に分けて定義する。

1.最広義のいじめ定義A 「実効的に遂行された嗜虐的関与」
いじめ概念のコアにあるのは、加害者側の嗜虐意欲である。それが加害者側の行為を通じて被害者側の悲痛として現実化し、その手応えを加害者側が我がものとして享受する。これが「実効的に遂行された関与」ということの意味である。

また「実効的に遂行された」という項目によって、「人知れず丑の刻参りをして藁人形に五寸釘を打ったが何の影響力もなかった」といった場合を除外することができる。いじめは、一人称の心理的な情熱ではなく、あくまでも心理−社会的な相互作用として成立する。ただこの定義Aだと通り魔のケースも含まれてしまう。われわれがいわゆる「いじめ」らしく感じるいじめの多くは、何らかの社会状況に構造的に埋め込まれることによって生じる。したがって、次に示す広義の定義Bがもっとも自然な定義になる。

2.広義の定義B 「社会状況に構造的に埋め込まれたしかたで、実効的に遂行された嗜虐的関与」
一個人による孤立的行為がおよぼす有害作用は、集団化したタイプに比べれば相対的にたかがしれている。たとえば小学校低学年によくみられる、グル—プを組まない乱暴者による純粋な一対一のいじめは、学級制度(被害者は制度的に所属を強制され、加害者との関係を切断することができない)という社会状況に構造的に埋め込まれているが、そこに集団の力は作用していない。それに対して、もっとも研究に値するいじめの中核群は、群れた「みんな」の勢い、あるいは「自分たちなり」の特殊な秩序を背景にしたタイプである。そこで狭義のいじめの定義Cは次のようになる。

3.狭義の定義C 「社会状況に構造的に埋め込まれたしかたで、かつ集合性の力を当事者が体験するようなしかたで、実効的に遂行された嗜虐的関与」

以上が、筆者によるいじめの定義である。

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森口朗『いじめの構造』より

現実に学校で起きているいじめは極めて多様です。その点に着目して、効果的ないじめ対策をとるためにはまず「いじめ」と総称されている事象を分類して把握する必要がある、と主張するのが、国際基督教大学教授の藤田英典氏です。藤田氏は、「いじめ」と呼ばれている現象を、次の四つの理念型に分類しています
(岩波新書『教育改革−共生時代の学校づくり−』)。

タイプ1.集団のモラルが混乱・低下している状況(アノミー的状況)で起こる。

タイプ2.なんらかの社会的な偏見や差別に根ざすもので、基本的には<異質性>排除の論理で展開する。

タイプ3.一定の持続性をもった閉じた集団のなかで起こる(いじめの対象になるのは集団の構成員)。

タイプ4.特定の個人や集団がなんらかの接点をもつ個人にくりかえし暴力を加え、あるいは、恐喝の対象にする。

いじめの構造を言葉だけで把握するのは困難だと思われるので、筆者の独断によって藤田分類を図示してみました(次頁図表1「理念型藤田モデル」)。

図表1 理念型藤田モデル

● 加害者1(恒常的な加害者)
◎ 被害者 (恒常的な被害者)
■ 加害者2(状況により被害者にもなる)
□ 中立者 (加害者にも被害者にもならない)

タイプ1


タイプ2


タイプ3


タイプ4


それぞれ、次のような事例が実際に起きています。

ケース1 タイプ1型
YのクラスではHがいじめられていた。Hがいじめられはじめた理由は不明である。朝からクラス全員でHを無視する。教科書を塗りつぶす、ノートを破る。体育着や上履きをトイレの便器に入れるなど、かなりハードないじめである。Yもいやいやながらこのいじめに参加していた。しかし、ある日クラス全員が順番にHに「死ね」と言う話になり、Yは自分の順番になったがどうしても言えなかった。次の日、Hが笑いながらYに近づいてきて「お前、キモイんだよ。死ねよ」と言った。いじめの対象がHからYに替わったのである (『教室の悪魔』より)。

ケース2 タイプ2型
軽度の情緒障害がある女子生徒Mは、中二の秋から男子生徒A・Bに「髪の毛が汚い」「服装が汚い」と言って足を蹴られるなどのいじめを受けていた。そのうちの一人はその後も暴力・言葉の両方でいじめを続けた。中三の秋になってMの親はいじめをやめてほしいと教頭に電話で訴え、生活担当教師が一部の生徒(A・Bとは別の生徒)を家庭訪問して指導していた。

中三の11月に女子生徒C・Dが男子生徒A・Bと帰宅する際にMと出会い、4人で20分〜30分間にわたり、頭部や腰、背中などを蹴り続けた。その場でMは意識を失い、六日後に死亡。その後の調査で学年全体の三分の一がMをいじめていたことが判明 (『あなたは子どもの心と命を守れますか!』より)。

ケース3 タイプ3型
Kは大阪のO大付属高校に入学し柔道部に入ったが、選手になれず挫折・退部する。屈折した感情を同じグループのE・Fをいじめることにより晴らしていた。しかも、直接手を下すよりもグループ内の手下G・Hに実行させることが多かった。

KはE・Fに自転車泥棒などもさせていた。また、日頃からE・Fに対しては「警官になりたいが、無理ならヤクザになる」「いじめを告げ口すればお前の家に火をつけ、親を殺し、お前を苦しめたうえで殺す」と話していた。結局、このいじめは、思い余ったE・FがKを誘い出して報復殺人する、という形で終了する (O大学付属高校いじめ報復殺人事件)

ケース4 タイプ4型
愛知県名古屋市の私立中学に通うPは、二年生の時にQ・Rが10人あまりの同級生に暴行を加えているところを目撃して恐怖にかられる。Q・Rから「5000円を貸してくれ」と言われてすぐに差し出す。

三年になり、Q達にイカサマ賭け麻雀のカモにされるようになる。秋頃から市内の不良グループで「簡単に金をとれる奴」と評判になり、暴力団関係者を頂点にした恐喝グループが構成される。彼らは毎日のようにPから脅し取った金でタクシーを利用し、パチンコやカラオケに通いつめた。被害総額は数千万円にのぼり、15歳から18歳までの少年15人が逮捕、書類送検された (2000年4月にマスメディアを賑わした「いじめ」事件)。

このように、「いじめ」と総称されている事象は多種多様であり、けっして「被害者と加害者の地位が簡単に入れ替わる今時のいじめ」だけが起きているのではありません。それはいじめの一態様(タイプ1の「アノミー型」)に過ぎないのです。

実際、藤田分類を利用するならば、最近のいじめと昔のいじめで質が異なるのではなく、「最近はタイプ1のいじめが増えている」あるいは、「最近、『児童相談センター』に持ち込まれるような深刻ないじめはタイプ1が多い」と述べる方がより適切な表現であると簡単に理解できます。

自己主張力と共感力と同調力がスクールカーストを左右する

ただし、藤田氏の分類はあくまで理念型です。理念型とは、現実から学術的把握のために要素だけを抽出して純化したものですから、むしろ不純物を混ぜた方が、いじめの現実をイメージしやすくなります。

さらに、この「いじめモデル」に一層のリアリティを持たせるために、筆者は「スクールカースト(クラス内ステイタス)」という概念を導入しました。それが次頁の図表2です。本書ではこれを、藤田氏に敬意を表して「修正藤田モデル」と呼ぶことにします(但し、このモデルの考案、使用についてのあらゆる責任は筆者=森口にあることを付言しておきます)。

スクールカーストとは、クラス内のステイタスを表す言葉として、近年若者たちの間で定着しつつある言葉です。従来と異なるのは、ステイタスの決定要因が、人気やモテるか否かという点であることです。上位から「一軍、二軍、三軍」「A・B・C」などと呼ばれます。

もちろんこの言葉は、日本で一般的に使われる「力—スト」の誤った用法が前提になっており、正確な使い方ではありませんが、次の理由から、「クラス内ステイタス」ではなく「スクールカースト」という言葉を使うこととします。

1.子ども達が使っている言葉をそのまま使うことで、子ども達と概念を共有でき、将来、モデルの妥当性を検証することを容易にする。

2.「クラス内ステイタス」という言葉は、学力や運動能力が大きなウェイトを占めるイメージを大人に与えるが、スクールカーストを決定する最大要因は「コミュニケーション能力」だと考えられている(但し、高校の場合は学校のレベルにより学力や喧嘩の強さも大きな要因となる)。

図表2 修正藤田モデル

● 加害者1(恒常的な加害者)
◎ 被害者 (恒常的な被害者)
■ 加害者2(状況により被害者にもなる)
□ 中立者 (加害者にも被害者にもならない)

タイプ1


タイプ2


タイプ3


タイプ4


子ども達は、中学や高校に入学した際やクラス分けがあった際に、各人のコミュニケーション能力、運動能力、容姿等を測りながら、最初の一〜二ヶ月は自分のクラスでのポジションを探ります。この時に高いポジション取りに成功した者は、一年間「いじめ」被害に遭うリスクから免れます。逆に低いポジションしか獲得できなかった者は、ハイリスクな一年を過ごすことを余儀なくされます。

「今時のいじめ」論が、従来いじめられるタイプでなかった子ども達(武道をやっている子、喧嘩の強い子)もいじめられていることを自説の根拠としている場合がありますが、スクールカーストから見れば当然の帰結です。いくら腕っ節が強くても、コミュニケーション能力が低いために高いポジションを取れなければ、「シカト」というコミュニケーション系いじめを受けるリスクは当然高くなるのです。

私は、ここでのコミュニケーション能力とは、「自己主張力」「共感力」「同調力」の三次元マトリクスで決定されると考えています。自己主張をしなければリーダーシップをとることはできませんが、他者と相互に共感する力(共感力)がなければ人望を得られず、自己主張も空回りしてしまいます。また、クラスのノリ(空気)に同調し、場合によっては空気を作っていく力(同調力)は、クラスを生き抜く上で不可欠な力です。

三つの総合力(コミュニケーション能力)を主因としてスクールカーストが決定されますが、スクールカーストは単に高低だけでなく、各人のキャラクターに応じてそれぞれに期待される役割を与えます。図表3は、「自己主張力」「共感力」「同調力」の高低によりクラスで占めがちなポジションを表したものです。もちろん一例に過ぎませんが、どの子がいじめに遭いやすいかの判断には使えるでしょう。

図表3 コミュニケーション能力の高低によるクラス内地位

同調力
高い 低い
自己主張力 高い 共感力 高い スーパーリーダー 栄光ある孤高
低い 残酷なリーダー
いじめ首謀者候補
「自己中」
被害者リスク大
低い 共感力 高い 人望あるサブリーダー 「いい奴なんだけど・・・」
被害者リスク中
低い お調子者
いじられキャラ
いじめ脇役候補
「何を考えているんだか・・・」
被害者リスク大

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管理人記載: お気づきだろうか? いじめ加害者候補は全員共感力が低く、かつ同調力の高い者に限られている。共感力が高いか、もしくは同調力の低い者の中にいじめ加害者候補は存在してしない。ならば、いじめ加害者が生まれる原因を探るには、共感力が低くなる(育たない)原因、さらに同調力(空気に迎合する傾向)が高まる原因を探れば良い。
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「今時のいじめ」論は、「誰でもいじめに遭う可能性がある」と言います。しかし、それは「誰でも交通事故に遭う可能性がある」という主張に似ています。事実ではありますが、何一つ内容がありません。どのような行動が交通事故のリスクを増加させ、あるいは低下させるのかを考えることが大事なのです。

よりリアルなモデルによるいじめの解明

さて、この修正藤田モデルを想定することで、「何故半数以上の子ども達がいじめられる方にも理由があると思っているのか」「何故多くの子ども達がいじめを見て見ぬふりをするのか」が理解できます。修正藤田モデルの各タイプの説明をしながら、解明してみましょう。

修正タイプ1は、いじめ被害者の心のケアをしている人たちが「今時のいじめ」と主張するものの実態です。確かに、多くの子ども達が「被害者にも加害者にもなりうる」ポジションにいます(■)。彼らは、被害者・加害者だけでなく、状況によっては観客にもなります。しかし、凜として「いじめ」から距離を置く子どもも存在します(□)。一概には言えませんが、■と□では、一般的に□の方がスクールカーストが高い場合が多いでしょう。また、いじめには大抵の場合に首謀者がいて、いじめ集団の中の強者である子が被害者になることはほとんどありません(●)。逆にいじめ集団の中には、圧倒的な弱者が存在することも少なくありません。彼らは常にいじめられ役に甘んじています(◎)。

さて、修正タイプ1において□に位置する者からすれば、■がいじめられた場合には「自業自得」に映ります。◎に対しても、よほど「強者の優しさ」が備わっていない限り同情を持ちません。下位カーストにも□がいる限り、◎に甘んじているのは「自己責任」という訳です。しかし、■から見たいじめの姿はこれとは異なります。「いじめなければいじめられる」と感じている彼らの中には、「いじめられるのに理由なんてない」と思う子どももいるでしょう。でも、□の存在を認めて「(優柔不断な自分も含め)いじめられる者(■、◎)にも理由がある」と感じる子どもや、自分の加害行為を正当化するために「いじめられる者(◎)にも理由がある」と考える子どももいます。

修正タイプ2は、差別に基づくいじめです。理念型と異なり被差別者を下に置いたのは、いじめられる状態そのものがスクールカーストを下降させるからです。但し、現実の彼らが学力や運動能力などで劣っているとは限りません。学力が低い、運動能力が低い、親の育児放棄のために不潔、といった古典的な理由で差別を受ける場合もありますが、帰国子女で英語の発音が良すぎる、親がその学校に不釣合いなほど金持ちである等が理由でいじめの標的になることも少なくありません。差別されているのは◎ですが、その近辺には同じように差別される可能性を持つ■もいます。修正タイプ2のいじめにも、もちろん参加しない□はいます。修正タイプ1よりも不参加に勇気がいらないので、参加しない子どもは多いはずです。

修正タイプ2の場合、子ども達が「いじめられる方にも原因がある」と感じるかどうかは、差別の理由によります。家庭の貧困や低学力などの古典的差別の場合はいじめを不当と感じる子もいますが、被害者が帰国子女で、スクールカーストに比較して自己主張が強すぎる場合など、いじめを正当と感じることが多いでしょう。

修正タイプ3は、おそらく最も一般的ないじめの事例ではないかと思います。というのは、子ども達は通常、グル—プに分かれて過ごしているからです(「ちびまる子ちゃん」や「サザエさん」のカツオ君を想像してください)。いじめは、ある意味で濃厚な人間関係だといえます。とすれば、いじめにがる人間関係も、多くの場合グループ内に限られるのです。

スクールカーストが上位の子どもほどグループ間を容易に移動できるので、いじめのターゲットになりにくく、結果的にスクールカーストの高いグループ内ではいじめは発生しにくくなります。これに対し、スクールカーストの低い子どもは容易にグループを移動できません。移動先が彼を受け容れてくれないからです。それゆえ、スクールカーストの低いグループ内ほどいじめが発生しやすくなります。

しかし、子どもの視線からは、いじめられてもそのグループを離脱しないいじめられっ子は「自業自得」に映ります。では簡単にグループを移れるかといえば、そうではありません。いじめられたら群れから離れて孤独に耐えるというのが、子ども達が描く「あるべきいじめ被害者の姿=作法」なのです。それをせずに群れに残っているのだから「自業自得」と映るのです。

また、グループ内の人間関係は小規模な修正タイプ1の場合が多く、いじめリーダーの気分によって、加害者から被害者に地位が入れ替わります。しかし、いじめリーダーと力が拮抗している場合は、いじめに加わらないという選択も可能となります。

修正タイプ4は、都会の下町や地方都市によく見られるタイプです。クラスの枠組みを超えた不良グループが存在し、そのメンバーがクラスの弱者をターゲットにしていじめを繰り返します。その態様は、暴行、恐喝など悪質な場合が少なくありません。修正モデルの理念型モデルとの違いは、不良グループが決して閉じられた社会ではないということです。■は基本的には被害者ですが、不良グループに加入することで加害者に地位を転換することが可能です。しかし、スクールカーストが低すぎると、不良グループに入ることさえできません。多数派である□からすれば、◎は純粋な被害者ですが、■(不良グループに入っていないが不良っぽくて喧が弱い子)がいじめられていても「自業自得」に映ります。

子ども達は、小学校一年生から高校三年生までの一二年間で、修正タイプ1から修正タイプ4まで様々なタイプのいじめに出会います。そして、スクールカーストの高低とキャラクターに応じて、◎□■●など様々な役割を演じます。「いじめられる者にも原因がある」それは、様々な役割を演じてきた彼らの実感なのです。

子ども達は何故見て見ぬふりをするのか

次に、何故多くの子ども達がいじめを見て見ぬふりをするのかについて、修正藤田モデルを利用して考えてみましょう。見て見ぬふりをする子ども達は、当然現在いじめに関与していないのですから、修正タイプ1〜修正タイプ4のいずれにおいても中立者□です(場合によっては■の一部も含まれます)。

中立者□が、いじめが行われている集団の主導的立場にある者●よりもスクールカーストにおいて下位にある場合、いじめを止めに入ることはほとんど期待できませんし、先生への密告がばれると一気に被害者◎になる危険性があります。◎になることは、「いじめ」という実害があるだけでなく、スクールカースト最下位への転落を意味します。スクールカーストの転落は、誰もが絶対に避けたいことです(群れで生きるヒトの本能です)。結局、彼にできることは◎を慰めることくらいですが、それも●の目の届かないところで行わなければなりません。

これに対して、□が●よりもスクールカーストにおいて優位にある場合は、いじめを止めることが可能かもしれません。しかし、単独ならば優位でも、●には大勢の雷同者■がおり、いじめを止められる可能性は一〇〇%ではありません。それどころか、多勢に無勢で返り討ちにあえば、やはり◎になる危険性もゼロではないのです。さらに修正タイプ4の場合は、●のスクールカーストが高くなくても背後に暴力組織(暴走族や暴力団)がいる可能性があるので、校外で意趣返しに遭う可能性があります。これら少なくないリスクに比較して、□が得られるリターンは自尊心だけです。

さらに、先生への密告は、それ自体がスクールカーストの低い者に似合う行為なので、□のプライドが許しません。密告するという行為そのものが□のスクールカーストを低下させる可能性もゼロではありません。ただ、◎への慰めは比較的堂々とできると思われます。結局のところ、□にとっては「見て見ぬふり」か「慰める」がクラス内における最も合理的な行動ということになります。

図表4は、中立者が採る四つの行動パターンを、メリットとデメリットの面から分析したものです。メリットとデメリットを数値化し、その内容を数値の横に記しました。もちろん、どのような行動にどのようなメリット、デメリットを感じるかは各人の主観的評価=個性の問題ですが、いじめが行われている現場においてほとんどの者が傍観者のポジションを採ることを考慮すれば、この図表は決して平均像から外れたものではないと思います。そして、平均的な子ども達に非合理な行動を強制する「見て見ぬふり=加害者」論が彼らの心に響くとは、私にはとても思えないのです。

図表4 中立者が採る4つの行動パターンとメリット・デメリット

メリット メリットの内容 デメリット デメリットの内容
救済者 ・自尊心の確立
・スクールカーストの上昇(大)
・新たないじめの標的
・スクールカーストの下降
(失敗した場合)
密告者 ・教員評価の上昇 ・新たないじめの標的
・スクールカーストの下降
慰撫者
または
・自尊心の確立
または
・新たないじめの標的
(可能性小)
傍観者 ・いじめ集団との距離確保 ほぼ0 ・新たないじめの標的
(可能性最小)

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