ナルシシストの毒親
勝ち負けにこだわる毒親

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ダン・ニューハース『不幸にする親 』より

〈その6〉常に自分の都合が優先する親

 このタイプの親は、自分を満足させるために子どもを使います。彼らには次のような特徴かあります。

・親に忠実で言うことを従順に聞くよう、子どもに要求する。

・何かを失うことや気分が落ち込むことを極度に恐れている。

・感情面で人間的に成長できていない。

・他人が必要としていることや気持ちに気づかない。

・子どもと競争しようとしたり、子どもの楽しみをしらけさせようとすることがある。

・自分のニーズを満たすために人を使おうとする。

・人をすぐ批判するが自分が批判されることには非常に敏感。 

その結果、子どもには次のようなことが起きる可能性があります。

・利用された気分になる。

・貧しい自己像を持つ。

・愛について誤解する。

・感情面で自分を大切にする習慣を身につけることができない。

  自分の損得が大事

 「常に自分の都合が優先する親」は、すべてを「自分が何を得ることができるか」によって見る傾向があります。そのため、子どものニーズと自分のニーズが衝突すると、子どもは「厄介者」「問題を起こす者」、または「脅威」と映るのです。そして子どもは、注目されたり認められたり周囲をコントロールしたいという親の渇望を満たすために使われてしまいます。

 時として、子どもは親の愚痴を聞く相手にされたり、持って行き場のないフラストレーションを発散させるための攻撃の対象にされることがあります。

 ある女性はよく母親から、「おまえを育てるために私はすべてをあきらめたんだ」とか「おまえを生んだ時に帝王切開したために、腹に手術の跡がついた」と言われていました。そのため彼女は「自分が存在することが母親を苦しめた」という、後ろめたい意識を植えつけられたのです。

 しかし事実は、彼女が生まれたことも、母親の腹に縫合の跡がついたことも、彼女のせいではありません。しかもそれは、彼女にはどうしようもないことです。

 一般的にいって、こういう親は子ども時代にひどい扱いを受け、ほとんど自分の主張を認められたことがありません。その結果、自分には価値や能力がないように感じているため、最も扱いやすい相手である自分の子どもに対して、自分を敬うよう要求します。それは、一人の人間として存在している自信を得たいという渇望の表れなのです。しかし彼らはだれかをけなすことによってでしか、自信がわずかでも強まったように感じることができません。

 彼らは自分の過去に腹を立てており、ささいなことで怒りに火をつけますが、それ以外のほとんどの感情を感じることはないように見えます。今例にあげた女性は、よく母親が非常に腹を立てているように見えるのでたずねると、いつも「何も怒ってなんかいないわよ」と言われたといいます。そのように言われれば、子どもは自分が抱いた印象が正しかったのか間違っていたのかわからなくなります。彼女によれば、母親はいつも苦々しい顔つきをしており、すごく自分勝手に見えたそうです。「自分が人をいつもどう扱っているか、人は彼女をどう見ているか、といったことを、母はまったくわからないようだった」と彼女は言います。

 この女性はいつも物静かで、高校時代には成績はトップクラスでしたが、友達は一人もいませんでした。いつもうつむいて歩き、引っ込み思案でだれからも注目されず、そのうえ慢性的な頭痛とアレルギーと睡眠障害に悩まされ、顔には吹き出物がたくさんできていました。ところが大学に入って、親元を離れて暮らすようになったところ、たちまち頭痛もアレルギーも睡眠障害も吹き出物も消えてしまったのです。

  極度の自己中心性

 次に紹介するのは36歳になる女性公務員です。

 「私は6歳の誕生日の出来事をよく覚えている。それは父の典型的な行動パターンだった。父はプレゼントに凧を買ってきてくれたが、それは彼自身がいつもほしいと思っていたからだった。二人で広場に凧揚げに行ったが、父は私には一度も触らせず、自分ばかり遊んで凧が壊れてしまった。

 その時にかぎらず、父が何かを買ってきてくれる時はいつもそうだった。自分がほしいと思うおもちゃを買ってきては、私には触らせず、自分ばかり“ご満悦”になって遊ぶのだ。

 私がまだ小さい頃には、父はよく遊んでくれた。だが私が大きくなるにつれ、次第に相手をしてくれなくなった。小さな頃は可愛くて、まるでぺッ卜のように可愛がったのだろう。だが私か自分の考えを持ち始め、一人の人間として成長し始めると、父は急に疎遠になった。私が9歳の時に両親が離婚すると、それきり父はいなくなってしまった」

 この女性の父親は、「常に自分の都合が優先する親」の典型的な例です。それは、「人間として成長できていない」ということにつきるのです。こういう親を持った子どもは、ほのぼのとした楽しい子ども時代を経験することがほとんどできません。なぜなら、成長できていない親が子どもじみた行動をすることによって、子どもが存在できるスペースを奪ってしまうからです。

 「常に自分の都合が優先する親」の多くは、幼い子どもが100パーセント親に依存していることを利用して、自分の独りよがりな願望通りに子どもを作り上げようとします。それはちょうど、まっさらのキャンバスならなんでも自分が好きなように絵を描けると思っているようなものです。そこで彼らの子育ては、子どもを自分の思う通りの人間にさせ、それによって満たされなかった願望を満たし、自分が抱える問題から遠ざかろうとするための大プロジェクトになります。

 けれども、子どもは成長とともに自意識を発達させ、自分のアイデンティティーを持った、親とは別の人間であろうとし始めます。するとこういう親は、裏切られたように感じて腹を立てます。自分が作り上げた、自分のものであるはずの子どもが独立心を見せると、拒否されたように感じるのです。なかには怒って感情的なつながりを切ってしまう(そしてなかには実際にかかわりを断ってしまう)親もいます。

 この女性は成人後、男性とつき合うたびに、ささいなことで相手から捨てられるのではないかという不安にいつもさいなまれ、自分の考えをはっきり述べることができない状態にずっと悩んでいます。

  嫉妬深い

 「常に自分の都合が優先する親」は、人との関係を常に「勝ち負け」で考える傾向があります。彼らは自分が勝ったと感じるためにいつも相手を負かさなくてはならず、どんなことでも負けるわけにいかないのです。たとえ相手が自分の子どもであっても、それは変わりません。このことは、彼らがしばしば他人の成功や幸運に嫉妬し、底意地の悪いことを言って人の喜びをしらけさせようとする理由を説明できるかもしれません。

 彼らはまた、人から軽んじられたり避けられたりすることに、過剰に敏感です。実際にそうされたのであってもなくても、ちょっとした人のそぶりや言葉をそのように受け取ると、過剰に反応して腹を立てます。このような「いつも勝っていなくては満足できない親」に負かされてばかりいる子どもは、自分の本当の能力がわからず、自信が育ちません。そのため自己像が貧困になり、自分を否定的に見てしまう傾向が増します。

 「常に自分の都合が優先する親」は、子どもが感情面で必要としていることを思いやることがほとんどできません。それは、自分自身の感情的な安定を維持することができないからです。彼らは子ども時代に負った心の傷や、満たされない願望やニーズについて考えることを恐れているため、それには触れることなく、心にあいた空洞を他人に埋めてもらおうとします。そのため彼らの子どもは「親の問題には触れず、家に問題を起こさないことが大事」という意識を持つことが多くなります。

 こういう親が物質的な豊かさや肩書を求める傾向が強いのは、おそらく内面の空虚さを感じるからでしょう。そのため彼らは自分より劣っている人を見下したり、自分よりたくさん持っている人に嫉妬したりすることが多く、肩書や財産を失ったら自分には価値がなくなってしまうと恐れます。

 子どもにとって理解しがたいことに、こういう親の多くは、家の外ではすばらしい人と思われていることがよくあります。家では苦痛をもたらすもの以外の何ものでもないのに、人からは「あなたのお母さん(お父さん)はなんてすばらしい人でしょう」と言われれば、子どもは「人は真実がわからない」「自分は理解されない」という苦しみが増すことでしょう。

 〈パート3〉で詳しく述べますが、このような親のコントロールから自分を癒すには、人はどう思おうが自分の体験や考えを大切にすることが大事です。それは何がなんでも自分が正しいのだといって親を一方的に悪と決めつけるためではなく、物事をトータルに見るようにするためです。

  ナルシシストの親

 この章で述べている8種類の「コントロールばかりする親」は、ナルシシスト的であるという点ではみな共通していますが、「常に自分の都合が優先する親」には、それが特によく当てはまります。

 ナルシシズムとは、自分を見る目がゆがんでいる状態のひとつです。アメリカ精神医学会が発行している『精神疾患の分類と診断の手引』によれば、ナルシシストには次のような傾向があるとされています。

・自己重要感が異常に大きい。

・「力」や「美」に対する果てしない幻想に心が奪われている。

・自分は特別で人とは違うと思っている。

・人からの称賛を過剰に必要としている。

・人は自分に従うべきだと思っている。

・人を利用する。

・他人のニーズや気持ちに気づこうとしない、あるいは気づくことができない。

・人に嫉妬したり、人は自分に嫉妬していると思っている。                                           
・尊大で横柄にふるまう。

 一方、ある著名な精神分析学者は、ナルシシストの親には次のような傾向があると述べています。

・人を基本的に「自分にとって有用か、それとも脅威になるか」という見方で見る。

・自分の責任を受け入れず、人を非難する。

・人、場所、物を支配してコントロールしようとする。

・感情的に無感覚だったり、または過剰に敏感である。

・自分の人格的な欠陥を他人のなかに見出してその人を非難する。

・人から批判されたり拒否されることに過剰に敏感である。

・「怒り」の表現のしかたが不適切だったり、表現せずに内面化する。

・完全主義者的な傾向がある。

・他人の気持ちを思いやる能力が欠如している。

・周囲の人を疲れさせる。


引用おしまい。

続いて他の毒になる親の事例を見ていくことができますが、ここから先は過去に当事者の子供であった人にとっては、読むことにより当時の記憶や感情が蘇り、精神が不安定になることがあります。充分にご注意ください。

 毒親による有害なコントロール
 毒親チェックリスト
 毒親に責任はあるか?
 心が健康な親VSコントロールばかりする親
 親に対する「罪悪感」と「真実」
 過干渉・過保護型の毒親
 愛情を与えない毒親
 完全主義者の毒親
 カルトのような毒親・軍人のような毒親
 言動が支離滅裂な毒親
 ナルシシストの毒親・勝ち負けにこだわる毒親
 虐待・体罰を加える毒親
 責任逃れをする毒親・子どもに依存する毒親
 侮辱的な言葉で自尊心を攻撃する毒親
 性的虐待、体罰、言葉による暴力で脳が萎縮


スーザン・フォワードの著書「毒になる親」の13章には親と対決する方法が載っています。親に直接会うか、手紙を書いて、親が過去にしたことと、それが自分に与えた影響を洗いざらい話し、トラウマを原因となった親に返すのです。

もしあなたが、それをやるつもりであるならば、「毒になる親」と合わせて「論理的思考力とは? 論理的な討論・議論・ディベート・ディスカッション」というサイトを読むことをオススメします。頭のなかを整理するのに役立つはずです。


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