言動が支離滅裂な毒親

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ダン・ニューハース『不幸にする親 』より

〈その5〉支離滅裂な親

 このタイプの親は、「かまいすぎて子どもを窒息させる親」と「子どもの幸せを取り上げる親」の両方の特徴を備えています。彼らは安定した態度で子どもに接することができず、密着したかと思うと急に疎遠になったり、あるいはその逆といった具合に、行ったり来たりをくり返します。このタイプの親には次のような特徴があります。

・子どもの心を混乱させ、何を言い出すか予測がつかないことでコントロールする。

・一貫性のあるしつけをすることが極度に困難。

・正反対のことを同時に指示したり、どちらにもとれる指示をしたり、わけのわからない怪しげな理由づけをする。

・言動が急変する。

・ややこしい規則を作ったり、しょっちゅう規則が変わったり、自分の作った規則を守らなかったりする。

・厳しく叱ったかと思うと、同じことをしてもあまり叱らなかったりする。

・猫かわいがりをするかと思うと、急に冷淡になって突き放したりする。

 その結果、子どもには次のようなことが起きる可能性があります。

・自分や他人の感情がよくわからない。

・警戒心が過剰で、危険のないことにもギクッとなったりする。

・他人への信頼感がなくなる。

・心の休まる暇がない。

  感情が極度に不安定

 このタイプの親の最大の問題は、感情が特に不安定なことです。だれでも、その時の気分や周囲の状況によって態度が変わることはありますが、それも程度問題です。子どもが同じことをしてもある時は気にもとめず、ある時はわめき散らす。あるいはその時の気分で叱ったり甘やかしたりする、となると、子どもはいったい何を基準に判断したらよいのかがわかりません。

 また彼らは、厳しく叱った後で、急に子どもの機嫌を取るようなまねをすることがあります。彼らの感情は、うねりの大きな海に浮いている小さなボートに乗っているようなもので、一方に傾くとすぐ正反対にシフトしてバランスを取ろうとするのです。 ある23歳の女性の母親は、このタイプの典型でした。

「私か小さな頃から、母はしょっちゅう言うことが変わり、暴力を振るったが、いつもその後で優しくなった。『家で宿題をしなさい』と言ってから1時間もたたないうちに、『いいから友達の家に遊びに行っておいで』と言うようなこともよくあった。高校生の時、門限に10分でも遅れて帰宅すると、母は大声でののしって私を叩いた。だが翌日になると急にニコニコして、ケーキを買ってきたり豪勢な夕食を作ったりした」

 子どもがまだ小さい頃から親がこうでは、子どもは頭がまったく混乱してしまいます。彼女の母親はアルコール依存症でした。言動がすぐ変わったり、いつも情緒不安定なのは、アルコール依存症の人間にはよく見られる症状です。彼らは感情が常に変動し、中間の状態で安定を維持することができません。彼女の母親も、今赤ん坊扱いしたかと思うと、すぐ後には突然邪険に扱うというように、精神状態がまるでシーソーのように上がったり下がったりしました。そういう親と一緒にいる子どもは、親の顔色をうかがいながら、いつもビクビクしていなければなりません。

 この女性は幼い頃に交通事故にあって重傷を負い、意識不明の状態が数日続いたことがありました。すると母親はつきっきりで看病し、助からないかもしれないと医師から言われた時には、どんなことをしてでも助けてくれと懇願したそうです。幸い彼女は一命をとりとめ、手術もうまくいって健康を回復しました。

 その彼女は今、こう言っています。 「あんなことがあって、あの時の母の行動が私に愛情を注いでいる証拠だというのなら、なぜ回復したらまた虐待するようになったの?」

 この彼女の問いは、コントロールばかりする親に苦しむ多くの人たちが抱いている根本的な疑問をよく物語っています。その疑問とは、 「もし子どものことを思っているというのなら、なぜ傷つけるの?」 ということです。子どもにとってその答えを考えるのは、そしてその答えを受け入れるのは、恐ろしすぎるかもしれません。なぜならその答えは、

・たぶん、彼らは私を愛していないから。

・たぶん、彼らは私を望んでいないから。

・たぶん、彼らは自分をコントロールできないから。

・たぶん、彼らが私を傷つけたのにはなんの理由もないから。

・たぶん、私か何をしようがどのみち彼らは私を傷つけるだろうから。

 などだからです。 そこで子どもは、そういう考えを直視するかわりに、違う答えを見つけます。それでも嬉しくはありませんが、恐ろしさはずっと少なくなるからです。子どもが見つける答えとは、

・私が悪いことをしたから、親は私を傷つけた。

・私が罰を受けるに値するから、親は私を傷つけた。

・私を愛しているから、親は私を傷つけた。


 このように考えることにより、子どもは説明のつかない出来事に対する答えを見つけようとします。親の行動の原因が自分にあると考えれば、わけのわからないこともなんとなくわかったような気がするからです。けれども、いくらそう考えたところで、その結果は自分にはね返ってきます。今の女性の例でいえば、彼女は感情が不安定で、うつと自信のなさに悩まされています。そのうえ、彼女は二枚舌を使う人をよく見抜けません。

  何を言っているのかよくわからない

 次の例は53歳のソーシャルワーカーの女性です。

 「子どもの頃、私はよく母にいじめられた。たとえば、家のなかで何かがなくなったりすると、きまって私が犯人にされてしまうのだ。否定して泣くと、母は勝ち誇ったように『そらごらん。あんたがやったのはわかっているのよ。そうでなければ泣かせたりしないんだから』と言った。

 母の理不尽ないじめは、子ども時代ずっと続いた。子どもながらも理屈が通らないと思える理由で何かを強制されたり、何かを言われて『イエス』と答えても『ノー』と答えてもどのみち泣かされるのだ。

 小学生の頃、子どもの誘拐事件が頻発したことがあった。母が誘拐犯の恐ろしさをさんざん聞かせるので、私と妹は怖くて眠れなくなった。すると母は急に優しくなり、睡眠薬を飲ませてくれた。

 思春期になると、母は口癖のように『女の子は頭がよくて埼麗でなければならない』と言い、クラスで上位の成績を取るよう私と妹にプレッシャーをかけたが、また同時にたくさんの相手からデートに誘われることを望んだ。だが私が家で賢そうな口をきいたり、着飾ったりすると、叱りつけるのだった。

 門限や家事の手伝いについて厳しく言いつけ、厳格に守らせようとしたかと思うと、次の日は何も言わないこともあった。私と妹は、後になって叱られるまで何が家の規則なのかよくわからないこともあった。ある時は私たちが何かをしても母は何も言わず、次の日に同じことをすると怒りを爆発させた。私が質問しようとすると、母はわけのわからない理由をつけて『あんたは頭がおかしい』と言うのだった。

 私は本当に自分の頭がおかしいのかと思ったこともあったが、本を読んだり、知識の豊富な人と話すうちに、次第に、『頭がおかしい』のは自分ではなくて母のほうだと思うようになった。それから何年もたって、私は大学生になって初めて、自分が育った家はノーマルではなかったと確信するに至った」

 支離滅裂な親がそのことを自覚しないのは、自分に対する感覚がいつも揺れ動いているためです。一貫性のない言動も、意味が曖昧な言いぐさも、その時その時の彼らの意識のなかではまったく一貫しているのです。そして自分に対する感覚が変わるたびに、行動も変わっていきます。

 このような親を持った子どもにとってやっかいな問題は、いかにして「自律性を守ること」と「親と親密であること」とのバランスを取るかということです。たとえば、子どもが友達の家に遊びに行こうとすると、こういう親は拒否されて傷ついたような顔をすることがよくあります。けれども、もし子どもが家にいればいたで、彼らは小言を言ったり拒否反応を示したりするのです。つまり、子どもは、親のそばを離れて自分のやりたいことをしても、親のそばにいても、どのみち罪悪感を植えつけられてしまうわけです。

 似たような混乱は、親に精神障害がある家庭でも起こります。その場合、もしそれが病気であるなら支離滅裂な言動も一概に責めることはできませんが、そういう不健康な親のコントロールが子どもに大きな苦しみを与えるという点に変わりはありません。


引用おしまい。

続いて他の毒になる親の事例を見ていくことができますが、ここから先は過去に当事者の子供であった人にとっては、読むことにより当時の記憶や感情が蘇り、精神が不安定になることがあります。充分にご注意ください。

 毒親による有害なコントロール
 毒親チェックリスト
 毒親に責任はあるか?
 心が健康な親VSコントロールばかりする親
 親に対する「罪悪感」と「真実」
 過干渉・過保護型の毒親
 愛情を与えない毒親
 完全主義者の毒親
 カルトのような毒親・軍人のような毒親
 言動が支離滅裂な毒親
 ナルシシストの毒親・勝ち負けにこだわる毒親
 虐待・体罰を加える毒親
 責任逃れをする毒親・子どもに依存する毒親
 侮辱的な言葉で自尊心を攻撃する毒親
 性的虐待、体罰、言葉による暴力で脳が萎縮


スーザン・フォワードの著書「毒になる親」の13章には親と対決する方法が載っています。親に直接会うか、手紙を書いて、親が過去にしたことと、それが自分に与えた影響を洗いざらい話し、トラウマを原因となった親に返すのです。

もしあなたが、それをやるつもりであるならば、「毒になる親」と合わせて「論理的思考力とは? 論理的な討論・議論・ディベート・ディスカッション」というサイトを読むことをオススメします。頭のなかを整理するのに役立つはずです。


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