カルトのような毒親
軍人のような毒親

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ダン・ニューハース『不幸にする親 』より

〈その4〉カルトのような親

 (訳注:カルトとは宗教を装った邪教のことで、宗教とは似て非なるものです。正しい宗教が人間の救済を目的としているのに対して、カルトは救済を口にしながら人を破壊します)

 カルト教団の教祖は、「私は常に正しくて、すべてがわかっている」という態度でふるまい、信者にはそれを信じるよう要求し、絶対的な権限を行使します。「カルトのような親」はそれと似ていて、次のような特徴があります。

・厳格な規則、形式、主義、信条で家族全体をコントロールする。

・疑いがあることや不確実さを極度に恐れている。

・異議、質問、新しい考えを容認しない。

・特定の組織、宗教団体、企業などに自分を一体化することで安心感を得ようとする。

・自分の知らない人や部外者を信用しない。

 その結果、子どもには次のようなことが起きる可能性があります。

・自分の意思で率先して行動することができない。

・何事においても不信感が強かったり、または逆にすぐ信じてしまったりする。

・人とのつき合いがなく孤立する。

・知的発達がゆがめられる。

・宗教観や精神性がゆがむ。

  ’正しい’ことが死ぬほど大事

 私がこのタイプの親を“カルトのような”と呼ぶ理由は、彼らはいろいろな意味でカルト教団と非常によく似た特徴を持っているからです。次に、すべてのカルトに共通する特徴をいくつかあげてみましょう。 カルト教団では、

・リーダーは実際以上に偉大な人間のようにふるまい、特別な待遇を受ける。

・メンバーの人権はグループやリーダーに隷属させられる。

・メンバーは、偏見によって自分たちを部外者と厳格に区別している。

・メンバーの行動は厳しく管理される。

・メンバーの感情は軽視され、操られる。

・リーダーやグループに対する質問や異議は許されない。

 彼らがこのようにふるまうのは、強固な組織や信条に従うことによって、不確実な現実から逃れたいという欲求のためです。 

 軍隊のような家

 実際に何らかの宗教に頭が凝り固まっている親もいますが、規則ですべてを規定する組織のなかに身を置くことで確実さを見出せるなら、対象は宗教でなくても同じことです。一部の企業や団体のなかには、非常に権威主義的な組織構造と規律を持っているものがありますが、そういった組織に自己を同一化している親もいます。どういう人生を生きたらよいかを命令してもらって、それに従っていれば楽だからです。そういう性格を持った組織の極致は軍隊です。そのため、「カルトのような親」のなかには軍隊スタイルを家に持ち込む者もいます。

 彼らが硬直した考えや行動様式にしがみついて離れられないのは、人間社会にはグレーゾーン、つまり曖昧なものや中間的なものが存在するという現実に対処できないからです。すべてが規則で決められていれば、何事も「正しいか間違っているか」「白か黒か」「すべてかゼロか」という見方で見ることができるので楽です。

 また、コントロールばかりする親の多くは、個人的な話題や個人的感情について話をすることが下手です。ある女性は「私の家では、親子の間で何かについて『話をしよう』という言葉が交わされたことは一度もなかった」と言っています。彼女の家では、親に「なぜ?」と訊くことは許されなかったのです。私が面談した、「カルトのような親」の家に育った人たちの人生には、緊張と潜在的な暴力の脅威が充満していました。

 一般的に言って、コントロールばかりする親は、子どもが質問したり、自分が言った通りにすぐしないと、それを親の権威に対する意図的な挑戦と受けとめます。彼らには、子どもというのは時として、ただ不安になったり、確信がなくなったり、何かに夢中になる、ということが理解できません。

  社会的地位のある親にもいる’カルト’

 地位も経済力もある政治家、官僚、企業人などのなかにも、家では独裁者のような人がいます。彼らにとって、子どもが親の地位をはずかしめるようなことを言ったりしたりするのはもってのほ
かであり、子どもは親の社会的地位を守り、親の言う通りにふるまうことが非常に重要です。つまり、子どものニーズは二の次にされるのです。 私が面談した44歳の医師の証言をご紹介しましょう。

 「私の父は大企業のエリート社員だった。私は11歳くらいの時に家のなかの雰囲気が変わり始めたのをよく覚えている。父はもともと厳格な人だったが、その頃からそれがますますひどくなった。きっと、会社でトップの地位まで登りつめることを人生の目標にしたのがその頃だったのだろう。会議の時に着席する位置はもちろんのこと、ゴルフでだれと組むかとか、はては自分のデスクの大きさまで気にするようになった。また父は、ライバルが出し抜こうとしているのではないかといつも神経をとがらせていて、疑心暗鬼がひどくなり、その結果ますます厳格になった。

 家でも子どもたちは学校の成績から服装にいたるまで、社内のライバルの子どもたちに負けてはならなかった。家族に問題があると出世にひびくので、父は家庭内のあらゆることをコントロールしようとした。母は父と人生の目標を共有しており、父と一緒になって『人もうらやむ家庭』の『理想的な子ども』を演じるよう子どもたちに強制した。会社の行事がある時など、会社の人たちの前でうまくふるまえるよう、子どもたちは事前に家でリハーサルまでやらされた。そして当日、会社の人から私と弟がどれほどすばらしいかと言われるたびに、両親は喜びにあふれた顔になった」

 彼の父親は、周囲の人より優れていると常に感じていなければ生きていられない人間の典型です。しかし、
「私はほかの人間より優れている」
「私の家族はほかの家族より優れている」
「私の会社は世界一だ」
という考えを押し進めていけば、

「私たちの宗教はほかの宗教より優れている」
「私たちの国はほかの国より優れている」
「私たちの人種はほかの人種より優れている」
となるのです。

 しかし、彼の父親の外面的な優越への心酔は、子どもたちには何ひとつ「ほかより優れている」と思えるものをもたらしませんでした。彼は父親が望むように理想的な子どもになろうと努力しましたが、何をするのにもいつも父の了承を得なくてはならない気がしていて、高校生の時にそういう自分は変だと感じるようになったといいます。

 しだいに彼は、出来の悪い人間のようにふるまうようになりました。それは、いつも理想的な子どもを演じていなければならなかったことへの反動だったのかもしれません。大学生になるとうつに悩むようになり、友人とのつき合いも少なくなって、ドラッグに手を出しました。

 その状態を克服するには何年もかかりました。それから苦労して医学部を卒業し、今では医師として働いています。しかし、今でも彼は親とは距離を置いています。大学に入って以来、親の意向に添わない生き方をしてきたため、医師になった今でもなお、一家の厄介者のように思われていて気が晴れないといいます。


引用おしまい。

続いて他の毒になる親の事例を見ていくことができますが、ここから先は過去に当事者の子供であった人にとっては、読むことにより当時の記憶や感情が蘇り、精神が不安定になることがあります。充分にご注意ください。

 毒親による有害なコントロール
 毒親チェックリスト
 毒親に責任はあるか?
 心が健康な親VSコントロールばかりする親
 親に対する「罪悪感」と「真実」
 過干渉・過保護型の毒親
 愛情を与えない毒親
 完全主義者の毒親
 カルトのような毒親・軍人のような毒親
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 ナルシシストの毒親・勝ち負けにこだわる毒親
 虐待・体罰を加える毒親
 責任逃れをする毒親・子どもに依存する毒親
 侮辱的な言葉で自尊心を攻撃する毒親
 性的虐待、体罰、言葉による暴力で脳が萎縮


スーザン・フォワードの著書「毒になる親」の13章には親と対決する方法が載っています。親に直接会うか、手紙を書いて、親が過去にしたことと、それが自分に与えた影響を洗いざらい話し、トラウマを原因となった親に返すのです。

もしあなたが、それをやるつもりであるならば、「毒になる親」と合わせて「論理的思考力とは? 論理的な討論・議論・ディベート・ディスカッション」というサイトを読むことをオススメします。頭のなかを整理するのに役立つはずです。


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