完全主義者の毒親

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ダン・ニューハース『不幸にする親 』より

〈その3〉完全主義者の親 

完全主義者は何事においても不完全であることを極度に恐れ、自分も他人も完全であることを果てしなく追求します。しかしその結果がどうなるかというと、彼らは何ひとつ満足することができません。このタイプの親には次のような特徴があります。

・すべてにおいて完璧であるよう子どもにプレッシャーをかける。

・実現不可能な高い基準をもうける。

・欠陥、乱雑、清潔でないことを死ぬほど恐れている。

・いつも何かに追い立てられていて、言動が強迫観念的。

・外見、肩書、物質的なもの、人がどう思うか、などが非常に大事。

 その結果、子どもには次のようなことが起きる可能性があります。

・わき起こる感情の持っていき場がない。

・自分が「どんな人か」ではなく、「何をしたか」によって価値を測られると感じる。

・いつも追いかけられ、強制されているような気がする。

・後になって「ああすればよかった」と思ったり、自己不信に陥ることがよくある。

・抑うつ感がつのる。

  子どもにかかるプレッシャー

 「完全主義者の親」は、何事でも完璧に成し遂げるよう子どもに要求しますが、特にスポーツ、学校の成績や文化活動、入試、就職などで、子どもが心のサポートを最も必要としている時に大きなプレッシャーをかけます。親が期待とプレッシャーをかけすぎるため、子どもはかえって力が出せなかったり、失敗するケースがよく見られます。

 他人の前でどうふるまうかを子どもに強制する親もいます。特に親の友人や仕事仲間、上司、部下などの前で理想的な家庭を演じさせられるケースもあります。子どもはイヤでも言う通りにするしかなく、ストレスと大きな苦痛を味わうことになります。このタイプの親は「子どものため」より「一家が他人の目にどう映るか」のほうが大事なのです。

 もうひとつのパターンは、人の目を気にしてというよりは純粋に完璧さを要求するタイプですが、その完璧さとは”親が望むように”子どもが完璧にやり遂げることを意味します。次にあげるのは、ある中年男性が語った話です。

 「大企業に勤めていた父は、機知にたけた野心家で、魅力のある、自己管理に厳しい人だった。だが父は家でも会社にいる時と同じようにふるまい、『勝つこと』『切磋琢磨』『父親の権威』などがいつも非常に重要だった。だから私たちは外から見れば理想的な家庭に見えたかもしれないが、実際はそうではなかった。

 父は自分の物差しで測って少しでも欠点があると、突然やかましく長々とした説教を始めたが、それは自分の要求通りに子どもがしないと我慢できないためのようだった。母は繊細な人だったが、若い頃からそのような夫に黙って従うことに慣れきっていた。そういう両親のもとに育った私は、『愛情』『人生』『自分自身』などについてよくわからないまま育った。また、何かをした後になって『ああすればよかった』と思うことがよくあり、自分を責めることが多かった。

 大学に進む年になるまでに、私をうなだれさせる父の説教は何年も続いたが、私がそれに慣れることはけっしてなかった。私は父に言われるままよく勉強したので、学校の成績はよかっ  たが、いつも傷ついていた。一流大学に進んだのは、それが父にとって何よりも重要なことだったからだ。だが父の言動は相変わらず残酷で、私はいつも『なんでそんな言い方をするんだ』と思っていた。

 私は父の言うことがよくわからないことが多かった。大学に入ってからも、小さな時から数えきれないほど体験してきたのと同じように不可解な気分になった。『いったい私のしたことの何がいけないんだ?』 『父は何を怒っているのだ?』という思いはますます高まった。

 その後、私は力のある者や、私に対して権力を行使する者とトラブルを起こすことが多くなった。最近、結婚生活がうまくいっていないのも、他人から少しでもコントロールされると我慢できない性格のためだということに気づいた」

 「完全主義者の親」を持つすべての子どもが待ち望んでいるのは、「ベストを尽くせばいいんだよ。結果がどうであろうと、私はきみを誇りに思っているよ」という親の言葉です。けれども、彼らがその言葉を聞くことは永久にありません。

 多くの「完全主義者の親」と同様、この男性の父親は、息子の成績に対する自分自身の不安を息子に向かってぶちまけていたのです。「完全主義者の親」は、自分の夢と子どもの望むことを区別することができません。

  ステータスの崇拝

 「完全主義者の親」の多くは、美、地位、権力、お金などをほとんど宗教的と言ってよいほど崇拝します。外見や行動ばかりでなく、子どもの「心の状態」まで完全でなくては満足しない親もいます。どういうことかというと、子どもが悲しんだり、疑ったり、嘆いたり、怒ったり、恐れたりしていると容認できないのです。

 なかには、不満足であることをはっきり言葉で言わず、不機嫌になって沈黙することで不承認を伝え、無言の圧力をかける親もいます。たとえ言葉で批判しなくても、子どもが味わう苦痛に変わりはありません。

  強迫観念的な要求 「完全主義者の親」のなかには、整理整頓や清潔さを強迫観念的に要求する者もたくさんいます。次は、ある会社の課長をしている中年女性の例です。

 「幼い頃に両親が離婚し、私は11歳の時に、弟とともに、すでに再婚していた父と一緒に暮らすようになった。義母は引っ越してきた私たちに、ただちに家のルールを申し渡した。クローゼッ卜のハンガーに掛ける服はすべてボタンを留めて同じ方向に向けなければならないなどは序のロで、整理ダンスや物入れの引き出しにはすべてラベルが貼られて分類されていて、違う引き出しに物をしまうと義母は怒り狂った。テレビの上には白い手袋が置いてあり、子どもたちはチャンネルを変える時にテレビを汚さないよう、それを手にはめなければならなかった(当時はまだリモコンがない時代だった)。

 キッチンの流しはいつもピカピカに洗ってあり、少しでもゴミが残っていると義母は目くじらを立てて怒った。一方、父は子どもたちが何もせずに無為の時間を過ごしているのが許せなかった。私と弟がテレビを観ていたり、ブラブラしているところを見つけると、急ぎ足でやって来てやかましく説教をした。そのうちに、父の足音が聞こえると私たちは急いでテレビを消し、あわてて部屋の掃除を始めるようになった」

 もちろん、どの家庭でもある程度の清潔さや整理整頓が必要なのは当然ですが、「完全主義者の親」は子どもの食事、睡眠、掃除、しゃべり方、その他のすべてについて自分の基準を守らせようとして、子どもに苦痛を強います。そういう親は、自分が置いたところに物がなかったりするとパニック状態になったり、逆上したりします。

 子どもというのは生来ある程度乱雑なものですし、人間の営みには必ず不完全さがともなうものです。ところが「完全主義者の親」は、そういう現実に自分を合わせることができません。彼らは自分自身にも厳しいのですが、子どもを自分の延長のように考えているため、子どもに対しても厳しく決めつけることがやめられないのです。

 「完全主義者の親」は、子どもの失敗や欠点に注目してばかりいますが、時としてそれを、愛情を与えないことの理由にします。彼らはそうやって、子どもに愛情をそそぐことで自分が弱くなるのを避けようとしているのです。しかしいくら弱みを見せないようにしたところで、どのみち彼らはどんな人のなかにも必ず欠点を見つけてしまうため、落胆から逃れることはできません。

 さらに、彼らは人から愛されるように自分も完全であろうとしますが、人間である以上、完全ということはあり得ないことですから、それに成功することはありません。同様に、彼らは子どもを愛することができるように、子どもを完全にしようとしますが、彼らが満足することは永久になく、これにも成功することはありません。こうして、「完全主義者の親」のいる家では、落胆とフラストレーションから抜け出ることが永久にできないのです。


引用おしまい。

続いて他の毒になる親の事例を見ていくことができますが、ここから先は過去に当事者の子供であった人にとっては、読むことにより当時の記憶や感情が蘇り、精神が不安定になることがあります。充分にご注意ください。

 毒親による有害なコントロール
 毒親チェックリスト
 毒親に責任はあるか?
 心が健康な親VSコントロールばかりする親
 親に対する「罪悪感」と「真実」
 過干渉・過保護型の毒親
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 カルトのような毒親・軍人のような毒親
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 責任逃れをする毒親・子どもに依存する毒親
 侮辱的な言葉で自尊心を攻撃する毒親
 性的虐待、体罰、言葉による暴力で脳が萎縮


スーザン・フォワードの著書「毒になる親」の13章には親と対決する方法が載っています。親に直接会うか、手紙を書いて、親が過去にしたことと、それが自分に与えた影響を洗いざらい話し、トラウマを原因となった親に返すのです。

もしあなたが、それをやるつもりであるならば、「毒になる親」と合わせて「論理的思考力とは? 論理的な討論・議論・ディベート・ディスカッション」というサイトを読むことをオススメします。頭のなかを整理するのに役立つはずです。


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