愛情を与えない毒親

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ダン・ニューハース『不幸にする親 』より

〈その2〉子どもの幸せを取り上げる親

 「かまいすぎて子どもを窒息させる親」が子どもに密着しすぎるのとは反対に、「子どもの幸せを取り上げる親」は子どもとの心の交流がきわめて疎遠で、子どもを精神的に見捨てます。彼らには次のような特徴かあります。

・機嫌を損ねると愛情を引っ込めてしまい、承認を与えなかったり口をきかないなどして子どもをコントロールする。

・幸福や幸運はめったにないものだと思っている。

・愛情は子どもをコントロールするための道具だと思っている。

・子どもをほめたり、スキンシップを与えることがほとんどない。

・大きくなった子どもには、「縁切りにする」とか「遺産は相続させない」などと脅して圧力をかける。

 その結果、子どもには次のようなことが起きる可能性があります。

・自己不信が増す。

・抑うつ感がつのる。

・物事に対する期待感や自信が持てない。

・「自分は愛情に欠けていて、人からも愛されない」と感じる。

・人とつき合う能力の発達が遅れる。

  トレードマークは「条件つきの愛」

「条件つきの愛」とは、見返りを要求する愛です。それが本当の愛情でないことはいうまでもありません。こういう親は、子どもが期待通りにやっていれば心のサポートを与えますが、ひとたびがっかりするようなことがあると、たちまち愛情を引っ込めてしまいます。そうなると子どもはいったいどうしてよいのかわからず、たとえ不本意でも親の望むことをして喜ばせなければいけないような気分にさせられてしまいます。

 こういう親が子どもに与える最大の弊害は、「愛とは気まぐれで長続きしないものだ」とか、「愛とは相手を喜ばせた時にだけ付随してくるものだ」という概念を、子どもが無意識のうちに抱くようになることです。 ある女性は次のように言いました。

 「私の母は、何かを与えてくれることでではなく、何かを与えてくれないことによって私に大きな力を振るった。それで私はますます母に依存するようになった」

 この女性の母親は、おそらく自分自身、幸せを与えられていると感じたことがなかったのでしょう。どうすれば幸福感を感じることができるかを知らないため、無意識のうちに娘に不幸を感じさせようとしていたのかもしれません。自分が気に入ることをした時には承認を与え、望む通りにしないと「縁切り」だといってプレッシャーをかけたのです。実際、彼女の弟は、母親が気に入らない相手と交際しているという理由で「縁切り」にされ、しばらくしてその相手と別れたら母親はまた口をきくようになったといいます。その後、似たようなことは妹にも起きました。

「高校を卒業すると、両親は自分たちの老後の面倒を見させるために、私に看護師になるように言った。だが私が家を出て別の町の学校に入ると、両親は怒って、その後6年間、口をきかなかった。ある時、家に帰ると、ほかに空いている部屋があるにもかかわらず、私の部屋は勝手に作りかえられて両親の居間として使われており、大切にしていた所持品はすべて捨てられていた」

 くじかれる子どもの夢

次は、50歳になる成績優秀な営業マンが語った話です。

 「私は、13歳の時に叔母からカメラをプレゼントされた時の興奮を今でも覚えている。それは、子ども向けの安物だったが、すっかりカメラの虜になった私は、将来はカメラマンになりたいと思った。 大きくなるにつれ、カメラマンになりたいという夢は膨らんでいった。だが両親は、一家が経営する雑貨店を一人息子の私に継がせると決めていた。私かいくら懇願しても『そんなものは時間の無駄だ』と言うばかりで、それからはフイルムを買ってくれなくなった。私たちが住んでいたのは田舎の町だったので、私は都会に出て写真学校に行きたかったが、親は許してくれなかった。高校を卒業後、私は大きな町に出て就職したが、結局、写真家になる夢はあきらめた」

 私は何がなんでも自分の望みを追求し、親の願いなど無視すればよいと言っているのではありません。それぞれ事情はあるでしょう。しかし、「子どもは親の温かい愛情や勇気づけを必要としている」という点ではみな同じです。それが奪われてしまうと、子どもは家の中で存在できる場所がありません。この男性は、子どもの頃に親から抱きしめられたり温かい言葉をかけてもらったことがなく、愛されていると感じたことは一度もなかったというのです。学校の成績はよかったのですが、親がそれについて言葉をかけてくれたこともほとんどなく、何につけても彼の気持ちをたずねたことはありませんでした。

 彼の両親は子どもの頃に戦争中の暗い時代を過ごしており、規則でがんじがらめにしばられた環境で育っていました。それは彼らにとって不幸なことだったには違いありませんが、理由はなんであれ、子どもがその不幸の原因を作ったのではありません。それにもかかわらず、子どもは愛情を示さない親のために高い代償を払わされたのです。母親は規則を押しつけるばかりで、父親はほとんど口をききませんでした。

 この男性には常に淋しさがつきまとっている雰囲気がありましたが、その原因は冷たくて暗い家庭にありました。彼はいくら学校でいい成績を取っても、営業マンとしていくら優秀な成績をおさめても、むなしい気持ちは消えることがありません。

 彼は一度結婚していますが、まもなく離婚し、その後も女性と心温まる関係が長く続いたことがありません。幼い頃から家庭で安定した温かさを経験したことがないことが、大きく影響しているのです。彼自身、「もし子どもの頃に温かい家庭があったなら、私の人生ももう少し違っていたかもしれない」と言っています。 彼は最近、仕事が休みになると写真を撮りに行くのが何よりの楽しみだといいます。子どもの頃に許されなかったことを、今、しているように感じているそうです。

  彼らはなぜ愛情を与えないのか

 愛情を与えない親にもいくつかのタイプがあります。第一に、自分のなかに人間的な感情を深く感じたことがない人たちです。そういう人間は、もともと他人に与える愛情をほとんど持っていません。次に、感情が乱れていたり、自分のことで頭がいっぱいで、他人の気持ちを思いやることがほとんどできない人たちです。そして第三が、スキンシップや親密な関係を持つことが居心地悪くて、子どもに近づくことができない親です。

 これらの親は、時には単に意地が悪くなって意図的に子どもから楽しい時間を取り上げようとすることもありますが、ほとんどの場合、彼らの行動は無意識的です。それは彼らがそれまでの人生で学んできた行動様式であり、彼らはそういう性格になるように親から育てられたのです。

 また、なかには「世の中の残酷で厳しい現実を子どもに教えるために厳しくしているのだ」と思っている親がいます。彼らにとって人間社会は敵対的な人たちばかりであり、人生とはそうした環境のなかで勝って生き残ることであり、温かい心を通わせるなど最優先にすることではないというわけです。

 そのように扱われて育った子どもが、「親から愛されていると感じたことがない」と感じるのは当然のことです。子ども時代に最も大切なものを親に取り上げられてしまった人が、大人になって自分に価値があるように感じられなくても不思議はありません。愛する人から捨てられるのではないかといつも不安なのも、一人の相手にコミットする状況になると逃げ出したくなるのも、自分に価値を感じられないことが原因です。


引用おしまい。

続いて他の毒になる親の事例を見ていくことができますが、ここから先は過去に当事者の子供であった人にとっては、読むことにより当時の記憶や感情が蘇り、精神が不安定になることがあります。充分にご注意ください。

 毒親による有害なコントロール
 毒親チェックリスト
 毒親に責任はあるか?
 心が健康な親VSコントロールばかりする親
 親に対する「罪悪感」と「真実」
 過干渉・過保護型の毒親
 愛情を与えない毒親
 完全主義者の毒親
 カルトのような毒親・軍人のような毒親
 言動が支離滅裂な毒親
 ナルシシストの毒親・勝ち負けにこだわる毒親
 虐待・体罰を加える毒親
 責任逃れをする毒親・子どもに依存する毒親
 侮辱的な言葉で自尊心を攻撃する毒親
 性的虐待、体罰、言葉による暴力で脳が萎縮


スーザン・フォワードの著書「毒になる親」の13章には親と対決する方法が載っています。親に直接会うか、手紙を書いて、親が過去にしたことと、それが自分に与えた影響を洗いざらい話し、トラウマを原因となった親に返すのです。

もしあなたが、それをやるつもりであるならば、「毒になる親」と合わせて「論理的思考力とは? 論理的な討論・議論・ディベート・ディスカッション」というサイトを読むことをオススメします。頭のなかを整理するのに役立つはずです。


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