毒親に責任はあるか?

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ダン・ニューハース『不幸にする親 』より

  問題の責任はだれにあるのか 

子どもは、たとえ親から不健康なコントロールをされていても、「うちは何かがおかしい。何か変だ」と認識することはほとんどできないものです。そう感じることができないように、幼い頃から親によってコントロールされているからです。そのため、本当は圧迫感を感じたり、感情が麻痺しているのに、そのことをわずかにしか認識できない子どもも多いものです。

 けれども、本人が認識していようがいまいが、親が不健康で過剰なコントロールをする家は、実際に「何かがおかしい」のです。そのような生い立ちから受けた傷が癒えるには、まず自分が育った家についての真実を知らなくてはなりません。もしその真実が「家族のことを悪く言ってはならない」という意識のカーテンによって覆い隠されているなら、そのカーテンをまくって中を覗いてみることが必要になります。 それについて、ある著名な精神分析学者はこう述べています。

   「苦痛に満ちた子ども時代からの癒しは、長年にわたる虐待とコントロールが原因でわき上がってくるすべての感情と言い分を、はっきりと言葉に出して表現することから始まる」

  ひと言で言えば、長いあいだ口に出すことができなかったことを語る、ということです。 それをするにあたっては、問題の責任の所在を次のようにはっきりさせておくことが重要です。

①子どもの時に親があなたにしたことには、あなたに責任はない。その責任は親にある。

②大人になった今の人生においては、あなたがすることにはあなた自身に責任がある。その責任は親にはない。

 自分の家に代々伝わる「親が子どもを不健康なやり方でコントロールするパターン」を調べるのは、けっしてあなたが抱えている問題の責任を転嫁するためではありません。むしろ、あなたの家で代々行われてきた責任転嫁を、あなたの代で初めて止めようということなのです。 自分の家に伝わる「不健康なコントロールのパターン」から目をそらさず、はっきりと見据えることにより、あなたはそれを次の世代に伝えてしまう不幸を避けることができます。それこそが、あなたの親ができなかった、またはしようとしなかったことなのです。

  この問題はいつどうして生まれたのか

「他人をコントロールしたがる」のと「他人を信頼する」のは正反対ですが、このふたつは密接に結びついています。私たちは、世の中が信頼できなければできないほど、他人をコントロールしようとするものだからです。その反対に、もし世の中が信頼できるものなら、心配することが少なくなるので、他人をコントロールしたいという欲求の大部分は不要になります。つまり、周囲をコントロールばかりしたがる人間というのは、概して人や世の中を信頼できない人たちであるといえます。

 もしあなたの親がコントロールばかりする親だったとしても、問題は彼らから急に始まったのではありません。問題は何世代も前から続いてきているのです。コントロールばかりする親のほとんどは、彼ら自身が子どもの頃に周囲からひどい扱いを受けたり、家族の死や、一家の危機や、親からの虐待によるトラウマを体験した人たちです。そういう時に、だれからも助けてもらえなければ、彼らにとって世の中とは危険で信頼できないものとなり、自分は一人ぼっちで虐げられている非力な存在と感じるようになります。さらにひどい目に遭うことのないように、必死になって自分の人生をコントロールしようとするのは、ごく自然のことだったでしょう。こうして、他人をコントロールすることは、彼らの身にしみついた生きざまとなったのです。

 彼らが深く傷ついたのは悲しいことですが、その傷を隠したり、傷ついた事実を否定しているかぎり、彼らの人生は過去の亡霊から逃れるために費やされていることになります。そして彼らの子どもたちは、そのお陰で自分にはまったく責任のないことに大きな代償を払わされることになるのです。

 けれども、あなたはそのような親とは違った道を歩むことができます。親から負わされた心の傷を、彼らのように隠したり否定するのではなく、あなたは癒すことができます。そして有害なコントロールの輪廻を次の世代に伝えるのではなく、断ち切ることができるのです。

  できることはたくさんある 

もしあなたの親がコントロールばかりする親なら、あなたは彼らのなかに、他人をコントロールすることが生きる術になっている人間の姿を見てきたことでしょう。けれども、自分の親がいかに子どもを不健康なやり方でコントロールする親だったか、そしてそのことが自分の人生にどのような結果をもたらしているかがよく理解できれば、私たちは自分の子どもや、配偶者や、自分自身に対して、どう接すればよいかがわかってくるはずです。 その時には、さらに次のようなことが可能になるでしょう。

・子どもの時から緊張を強いられてばかりいて、ゆったりと安心した生活を送ることができなかった人も、そのお陰で子どもの時にしおれてしまった活気や、豊かな情緒や、子どもの時に抱いた 夢を再び蘇らせることができる。

・自分の意見はほとんど通らない家で育った人も、これからは世の中で発言することによって、心を豊かにすることができる。

・心理的に不健康な家族の結びつきのなかで育った人も、これからは親しい人と心をはぐくみ合う関係を作り上げることができる。

・苦痛に満ちた子ども時代を送った人も。自分の子どもには自分が体験したような苦しみを味わわせないように努力することができる。

・たとえ過去における親との関係がいさかいに満ちたものであっても、彼らが人生の終わりに近づいた時には、より現実的で満足のいく関係を作り出すよう努力することができる。さらに、彼らが亡くなった後には、よりよい思い出を残すことも不可能ではない。

・今までは常に親を意識し、いつも身構えていなければならなかった人も、これからは本来の自分を出して自分の人生を生きていくことができる。

・心のなかにわき起こるネガティブな感情のために心身の状態を悪化させるのではなく、自分の感情を自分のためになるように使うこともできるようになる。

・物事がよくわかっていない親や、物事をちゃんとやることができない親によって、人生の目標をつぶされ、充足感を感じることがなかった人も、これからはそれらを達成することも可能になる。

これらのすべては、コントロールされてばかりいた子ども時代から自分を切り離し、独立させることによって可能になります。そのためには、あなたの親と彼らが作り出す「家」の、トラブルに満ちた、あなたを傷つけるやり方から、精神的に離れることが必要です。この「精神的な独立」をするには、親の過剰なコントロールのために心のなかでひっくり返ってしまったものを立て直し、「自分」と「自分の人生」について、親の言葉ではなく、あなた自身の言葉で語れるようにならなくてはなりません。

 このプロセスを経ることによって、あなたは自分の内部にひそむ強さを知ることができるようになるでしょう。その強さとは、あなたが最も心細く感じ、最も弱かった時にあなたを生き延びさせてくれた、あなたの最も強い部分なのです。それは友人をたくさん作る能力だったり、直感力の鋭さだったり、忍耐力だったり、感受性の強さだったりするかもしれません。親のコントロールがあまりにひどかった、まさにそのために、あなたはそういう能力を発達させたのです。 幸いなことに、困難な子ども時代の嵐を乗り切るために身につけたそれらの能力を、あなたは今でもまだ持っています。うまく用いれば、それらは大人の生活を送るうえで非常に有用なものとなり得ます。

 あなたは自分を「独立した、欠けるところのない一人の人間」だと感じてかまわないのです。他人から侵略されたり蹂躙されることのない、自分と他人を分ける健全な境界線を引いていいのです。感じたことを述べ、本当の気持ちを表現する自由を持っていいのです。あなたは苦しみから癒える権利があるのです。


引用おしまい。

続いて毒になる親の具体例などを見ていくことができますが、ここから先は過去に当事者の子供であった人にとっては、読むことにより当時の記憶や感情が蘇り、精神が不安定になることがあります。充分にご注意ください。

 毒親による有害なコントロール
 毒親チェックリスト
 毒親に責任はあるか?
 心が健康な親VSコントロールばかりする親
 親に対する「罪悪感」と「真実」
 過干渉・過保護型の毒親
 愛情を与えない毒親
 完全主義者の毒親
 カルトのような毒親・軍人のような毒親
 言動が支離滅裂な毒親
 ナルシシストの毒親・勝ち負けにこだわる毒親
 虐待・体罰を加える毒親
 責任逃れをする毒親・子どもに依存する毒親
 侮辱的な言葉で自尊心を攻撃する毒親
 性的虐待、体罰、言葉による暴力で脳が萎縮


スーザン・フォワードの著書「毒になる親」の13章には親と対決する方法が載っています。親に直接会うか、手紙を書いて、親が過去にしたことと、それが自分に与えた影響を洗いざらい話し、トラウマを原因となった親に返すのです。

もしあなたが、それをやるつもりであるならば、「毒になる親」と合わせて「論理的思考力とは? 論理的な討論・議論・ディベート・ディスカッション」というサイトを読むことをオススメします。頭のなかを整理するのに役立つはずです。


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