「集団主義」の定義

---------------------------------------------------------------
杉本良夫『進化しない日本人へ』より

第三章 牙をもつ集団主義

よく「日本人は集団主義的だ」といわれる。日本人はグループで行動することを好み、自分の属する集団に忠実だという説は、日本でも海外でも一種の通説になっている。終身雇用、企業別組合、社員旅行、系列会社組織、団体ツアーなどの現象を見て、日本人は集団好きだとされている。英語圏の学者の中には、これを日本人のグルーピズムと呼んで、日本社会の特徴だと主張している人が多い。しかも、日本的経営やTQC運動などが日本の経済成長を支えたといわれ、その奥には、日本人の集団主義があるとされてきた。それはひとつの美徳として考えられている。

しかし、日本人だけでなくいろいろな社会の人びとは、それぞれに集団的であると考える研究者もあり、日本人の集団性は欧米人より低いという仮説さえ提出されている。いったい集団主義の中身は何なのか、という点についても、はっきりした定義が成立していない状況だ。

私の分類によれば、集団主義には二つの類型がある。ひとつは、組織体の規範をメンバーに浸透させて、同一の価値と行動を全員に押しつける「管理としての集団主義」。もうひとつは、社会内の少数派を擁護するために人びとが自発的に合作する「連帯としての集団主義」である。

上からの「管理型集団主義」と下からの「連帯型集団主義」を分離して考えたほうがいい。いわゆる「日本的集団主義」と呼ばれるものは、管理や統制の要素が中心になってはいないだろうか。私の暮らしているオーストラリア社会も集団主義的な社会だが、そこには連帯的な側面が強い。

TOP [ニート・ひきこもり・不登校(登校拒否)の原因と親]

inserted by FC2 system