ブラック企業撲滅計画

この記事は『社畜とブラック企業の発生メカニズム』の続きである。今回はブラック企業を根絶するための計画を提示する。

  法律編
どんな立派な法律も罰則がなければ恐るるにたらない。

■三六協定を削除し、残業の上限時間を2時間までとする。やむを得ず超過する場合は監督署へ報告書を提出することを義務づける。時間超過の頻度が高い企業には業務改善勧告を行う。また、報告書の提出を怠った企業に対しては罰則を設ける。

■残業時間短縮のためデンマーク式の法律を導入する。例えば、午前8時から午後4時までの勤労者が残業した場合、午後7時までの残業代が5割増し、それ以降は通常の時給の2倍。就業者は残業代の6割が所得税として取られてしまう為に残業をやりたくない。そして雇用者も通常の2倍の時給を払わなければならないので、残業をさせたくないという仕組み。

■管理監督者の条件を明確に役員以上と規定する。

■不払いの残業代を請求できる権利を、さかのぼって2年以内とする条文を削除する。(労働基準法第114条

■残業代の不払いに関して、労働者の請求がなくとも付加金の支払いを強制する。(労働基準法第114条

■労働基準法違反の罰金の金額は、その企業の規模の応じて決定する。

例として、欧州委員会は2004年に反トラスト法に違反したマイクロソフト社に5億ユーロの罰金を科している。 マイクロソフトの年商は442億8000万ドルであるから、年商に対して1.4%の罰金である。 さらに2008年、制裁に従わないマイクロソフト社に対して新たに8億9900万ユーロの罰金を科している。

全体の流れとしては、違反が発覚した時点では業務改善命令を出し、それに従わない場合は罰金を科す、それでも従わない場合は追加の罰金を科す、さらに従わないならば業務停止命令を出す、これに従わなければ社長を逮捕して懲役刑を科す。

■労働関係裁判の費用は政府が無利子で原告に貸し付ける。そうしなければ経済力のない労働者は涙を飲まざるをえないからだ。そんなことでは企業の横暴を阻止することはできない。当然、有罪判決が出れば裁判費用(証拠収集のための調査費を含む)は全額、被告に返済する義務を負わせる。

■企業献金および政治献金パーティーの主催を全面禁止する。百歩譲って、パーティー券の購入は禁止、政治献金は政党本部に一本化して1円から記帳してインターネットを通じて公開する。

■「解雇規制」を撤廃して雇用を流動化させる。それまで新規採用に慎重だった雇用主も「お試しに雇う」ことができるようになるため、労働者が転職しやすくなる。転職ができれば不当な待遇に我慢する必要はなくなる。

  施行編
どんな恐ろしい法律も強制力がなければ誰も従わない。

■労働基準監督官の人数を3万人に増強する。全企業への3年に一度の抜き打ち監査を実施する。決して監査前にアポを入れてはならない。また、警察同様に目標摘発数(ノルマ)を設定する。

なかでも社会的影響の大きい東証一部上場企業に対しては年1度の監査を入れ、絶対に不正を許さない。有名企業が摘発されれば他の中小零細企業も震え上がる。

また、大企業を摘発した監査チームには特別ボーナスを支給して士気を盛り上げる。

■労働者の要請により、違反の証拠がなくても抜き打ち監査を行えるようにする。そのさい労働者の匿名性を保持しなければならない。また、監査のさいはすべての従業員について法律が遵守されているかも調査する。

■労働者がメールや電話で手軽に直接アクセスできる窓口を開設する。

■政府が労働時間の統計をとるさいは、正規雇用者と非正規雇用者(パート労働者)を分けて集計する。これはパート労働者の増加が平均労働時間を引き下げてしまうからである。施行の効果を確認するためには正しい統計が必要なのである。

  教育編
どんな有益な法律も知らなければ利用できない。

労働基準法第106条(法令等の周知義務)を徹底する。労働基準法第32条第1項および第2項、第34条第1項、第35条、37条第1項、第39条第1項および第2項を印刷した用紙を全事業所の目立つ所に掲示する。そして次の監査時にも掲示されているか確認する。違反には罰則を設ける。

■高校三年の三学期の授業で労働基準法を暗記させる。特に上にあげた項目に重点を置く。また、長時間労働やサービス残業についてのディスカッションも行う。

  メディア編
どんな優れた思想も啓蒙しなければ世論は変わらない。

■テレビCMを打つ。労働基準法の内容を周知徹底させるCM、ブラック企業を痛烈に批判するCM、社畜の目を覚まさせるCMを打つ。地味なのはダメ、扇情的なCMが良い。

■企業の摘発をマスコミに報道させる。世論に対してもっとも大きな影響力をもつのはテレビである。テレビが動かなければ世論は変わらないと言っても良い。マスコミに報道させるためにはインパクトが必要であるから、有名でなおかつ重い罰則の適用にあたいする重大な違反を犯している企業を狙い撃ちにする。

■摘発した有名大企業の社長を国会喚問にかけ徹底的に吊し上げ完膚無きまでに叩きのめし大恥をかかせ晒し者にする。アメリカ軍が敗戦国の銅像を引き倒すがごとくに、我々の勝利を国民に確信させ、時代が変わったことを告げるのだ。

  コスト編
理想的に思える方策でさえ、コストとメリットが釣り合わなければ実現しない。

■労働基準監督官を2万7000人増やすにはいくらかかるか? 一人あたりの年人件費が500万と仮定すると全体で1350億円である。労働者人口5524万人で割ると、一人当たり年間2433円の負担である。

2433円支払えば有給休暇が買える上に、サビ残もしなくて良い。

■テレビCMの料金は、視聴率10%の15秒間CMでおよそ100万円である。これを社会人の視聴率が高いであろう21時〜0時の時間帯に民放5局で15分間に一回放送するとして(一日計60本)。具体的な視聴率はわからないが、視聴率10%なら一日6000万円、1ヶ月18億円、年216億円である。労働者5524万人で割ると年間391円である。

391円で世論を変えてみないか?

さて、私の提案を実現するためには一人あたり年間2824円のコストがかかる。しかし、忘れてはならないのは、もともと我々労働者は年間34兆円も搾取されているという事実である。

  実践編
どんなに優れた政策も実行する手立てがなければ机上の空論にすぎない。

■選挙では企業献金を受け取っていない政党、受け取っていても金額が少ない政党のなかから、労働環境の改善をうたっている政党に投票する。

■ネット上でも良いのでブラック企業や社畜を批判し、労働環境の改善を訴えて世論の形成に尽力する。

首相官邸へ要望メールを送る。

厚生労働省へ要望メールを送る。


これを読んだすべての人が送り続ければ無視できない数になるだろう。


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